朝顔日記

2007年秋の訓練

2007-10-29

10月27日~28日にかけて、朝日岳方面遭難対策協議会山岳救助隊の秋の訓練があったので参加して来ました。

登攀訓練@打谷

初日は、小川支流打谷にある、40m の大滝で登攀訓練を行いました。打谷は、富山県入善町の最高峰、負釣山(959m)へ北面から突き上げている沢で、小規模な沢ながら多数の滝を架けるなかなか厳しい谷です。

午前7時、役場に集合しますが、ひどい雨ではないものしとしとと雨が降る厭な天気です。少し様子を見ていましたが、1日こんな感じだろうということで、予定通り打谷で登攀訓練を行うことにします。林道の車止めの手前の駐車スペースに車を停めて出発したする頃にはほんの小雨になっており、雨はたいした事はなさそうです。林道終点まで10分ほど歩き、いよいよ沢に入ります。沢はたいして増水しておらず、水も澄んでいます。

打谷の様子(増水前)

しばらく進むと、最初の滝です。高さは 7m ほどしかありませんが、深い釜を持っており直登は出来そうにありません。この滝は少し戻って右岸から高巻きしました。

深い釜を持つ F1 の写真

高巻きしてしばらく行くと左手から沢(東谷)が入って最初の二又です。右へ進みます。しばらく行くと今度は右手から沢(西谷)が入ってふたつ目の二又です。私たちは左(中谷)へ進みます。元々谷幅は狭いのですが、ここからはさらに圧縮され、ゴルジュの様相を呈してきます。中にはいくつかの小滝を架けていますが、増水していなければ特に問題はなく、快適に越えてゆきます。ゴルジュはそう長いものではなく、すぐに開けてくるのですが、その先には 40m ほどの大滝が現れます。

ゴルジュ出口より大滝を眺めるの図

今回の打谷での訓練は、ボルトやハーケンその他を使った登攀訓練がメインで、この大滝をその練習の場としました。講師役の富山県警山岳警備隊隊員2名がまずこの滝を高巻きして固定ロープを2本張りました。この固定ロープにユマールなどのアッセンダー(登行器)をセットして、落ちないように確保した上で、ボルトを打って、アブミを掛けて前進するという方法で訓練を行うことになりました。アッセンダーはロックを外さなければ、上方向には動くが、下方向には動かないというようなものです。

写真:固定ロープを下降する隊員

壁にボルトを打つには、ジャンピングといって壁に穴を穿つ必要があります。壁に穴をあけるといっても電動ドリルなどで開けるのではなく、錐をハンマーで叩いてこつこつと穴を掘ります。もちろん、壁は岩なのでそう簡単に開くものではありません。結構時間がかかります。

まずは私からだったのですが、取り付きから 5m ほどはフリーで登り、その上のスラブ(1枚岩)状のところにボルトを打つことにしました。私はジャンピングもボルトを打つのも初めてだったのでいい勉強になりました。少しでも高い位置にボルトを打ったほうがよかろうと欲張って、高い位置でジャンピングし始めたのはいいのですが、ジャンピングするのに腕を高く上げ続ける必要がありかなり疲れました。もうちょっと低い位置にすればもっと楽にジャンピングできたと思います。

写真:登攀訓練の様子

ジャンピングして穴を穿った後、その穴にボルトを埋め込み、ボルトにアブミをかけそのアブミに立ちこんで次のボルトを打ちます。もう1本くらい打ってみたかったのですが、後に控えている人がいたのと、腕が疲れてきたので、交代しました。

ところで、ジャンピングしている時に横を流れる滝を見ると滝に着いたときよりも水量が多くなっているような気がしていました。そばで見るから迫力があるのかなとか思っていたのですが、降りてから見直しても明らかに沢の水量が増えていました。先ほどまで水をかぶっていなかったはずの岩が今は水の中です。そういえばかなり降る雨が強くなっています。一通り訓練を終わったところで、警備隊の T口隊員が固定ロープを使って上まで登り、ロープを回収したのち、撤収することとしました。昼食時間はとうに過ぎていましたが、雨の中メシどころではありません。

写真:滝を攀じる T口隊員

大滝下のゴルジュは増水して見た目かなり派手に危険な状態です。(ぉ 幸い、順番待ちの間に他の隊員がゴルジュの出口にボルトを打って下降用の支点を確保してくれていたので、このボルトにロープを掛けて下降の補助にして下りました。

ゴルジュ内を下降するの図

ゴルジュを抜けると、沢は増水していても特に問題になるところもなく、最初に巻いた滝を再度高巻きして、下降して、午後2時半には、車に戻りました。なかなかいい訓練でした。

なお、この谷の完登の記録については、富山勤労者山岳会の手による2006年10月28日の打谷の記録があるので興味がある方はご覧になられるといいかもしれません。

この日は、北又にある北又小屋に移動して、1日目の反省会(飲み会)を行った後、宿泊して終わりました。

黒薙温泉へ

明けて28日、訓練2日目は北又小屋より北又谷を下降して、黒薙温泉まで歩いて周辺地形を把握する訓練です。1日目とはうって変わっていい天気です。北又小屋周辺の紅葉も今が盛りといった風情でした。

写真:北又小屋周辺の紅葉

午前9時半に北又の吊橋下流より北又谷へ降り立ち、沢沿いに下ります。昨日の雨の影響か川はやや濁っているものの水量は普通でした。北又ダムの放水があるのでは心配していましたがそれもありませんでした。特に問題になる箇所はないので、時折もものあたりまで水に浸かって渡渉するくらいでどんどん下って行きます。

北又谷の様子

途中、古い堰堤に倒木が倒れかけたものがあり、その倒木にムキタケとヌメリスギタケが発生しているのをハケーン。早速ロープを出して採取する危険プレイを行ったりしました。よい子はまねをしないように。:p)

写真:危険なキノコ採り

ちょうどおなかがへった12時頃に北又谷と柳又谷が出会う、北又堰堤に到着。昼飯に先ほど採ったキノコ入りのラーメンを食べます。おいしかったです。

写真:北又堰堤付近

昼食後、黒薙温泉を目指して進みますが、ここからは道があります。と言っても、北又堰堤の管理用道路で、かなりの部分が冬季歩道と呼ばれる暗いトンネルの中で、ヘッドランプ必須の道です。

写真:冬季歩道の内部

ただ道を歩いていてもつまらないので、1週間後にある駅伝大会に向けてランニングを交えたりしながら、進んでゆくとやがて前方の河原に湯気が立ち上がる黒薙温泉の露天風呂がみえてきます。これが見えてくれば黒薙温泉まではもうすぐです。と言っても見えてから案外時間がかかりましたが。

黒薙温泉に立ち寄り、露天風呂で汗を流します。黒薙温泉の露天風呂は宇奈月温泉の源泉でもあり、広くてきれいな露天風呂は周囲の景観もあってオススメです。その後、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車で宇奈月温泉まで行き、役場のからの迎えの車で帰還しました。

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